寂れた町の記憶

かんがえ

2024/08/17(土)14:38
おじさんが死んだという連絡を受ける
だけど、実感がない

連絡を受ける前までは、生きていた
連絡を受けた後は、この世に居ない
やっぱり、実感がない

2014年の秋から
おじさん夫婦は、別々の病院に入院することになる

2017年春、おばさんが旅立ち
2024年お盆に、おじさんが旅立った

人は2回死ぬと言われている
1回目は、肉体を失うこと
2回目は、人々の記憶から消えてしまうこと

時間の感覚というものが
あらためて、よくわからない

死んでしまった瞬間、人生を瞬きのように感じ
生きている途中は、終わりの見えない人生を長く感じる

おじさんにとって、人生は何だったんだろう?

戦後復興を経て、みな同じように豊かになり
みな同じ人生設計を強いられる、時代の波に呑まれながらも
一所懸命、自分自身の生きる意味を
最後の最後まで探究なさったと察する

お金が無いと、生活基盤、生命維持ができなくなる
狂った社会システムが戦後80年、今もなお回りつづけている
月曜日の朝、満員電車に飛び込む人が絶えないのに

人は、生きるために働き、得たお金は”納税”というルールに掠め取られる
老後は2000万円が必要、と根拠の無い不安に煽られ
夢や希望を考える時間は、不安に占拠され
身体が不自由になり、お金を得ることが出来なくなると
奴隷システムからお払い箱になり、死んで行く

生まれた瞬間から、死ぬまで
目に見えない鎖を装着されつづけている

おじさんの家は、帰る主を失い朽ちていた
だけど、注意深く見てみると
おばさんと2人でチカラを合わせ、希望に満ち溢れ
生きた証を、玄関先から伺い知ることができた
「天使モティーフの小さな彫刻」
永きに亘り、雨風経年劣化でテントが破れてしまっても
天使の彫刻は、凛と存在していた

嗚呼、おじさん、おばさんは
きっと彼らに守られながら
生きづらかった「目に見えない鎖」を解かれ
新しい世界に旅立たれたのだと、確信する

おじさん、おばさん
いままで ありがとうございます
どんなに世の中が狂っていても
わたしに、愛と希望を説いてくださった日々
一生忘れません

どうぞ 安らかにお過ごしください

感謝 拝

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